医療経営におけるホスピタリティ価値-経営学の視点で医師と患者の関係を問い直す-
- 単著共著の別
- 単
- 発行又は発表の年月
- 2016年04月
- 発行所、発表雑誌等又は発表学会等の名称
- 白桃書房 (A5版)
本書は、群馬大学医学部付属病院に対しての医療過誤をうけて出版するものである。医療経営において何が最も重要なのか。医療従事者と患者との信頼関係を築くにはどうしたらよいのか。理論的に問うたのが本書である。本書のタイトルにあるホスピタリティ価値は、筆者による造語である。「双方向的」「相互補完的」「個別的」「配慮的」などをキーワードにして生み出される価値のことである。ホスピタリティ価値は直接的には対価を求めないところに特徴があり、患者との相互関係・信頼関係を構築することが目的である。また、患者が主観的に評価する価値のことである。本書では、標準化された医療が生み出す価値については「サービス価値」と表現する。サービス価値という表現は、経営学の一分野であるサービス・マネジメント論の中で従来から論じられてきたところである。その特徴はサービス概念のルーツにさかのぼって吟味すると、「一方向的」「マニュアル的」「集団的」「義務的」である。また、直接的に対価を要求する経済的動機に基づいた経済的な活動であると捉えられる。これからの医療に何が最も求められているのか。その重点は、個々の病院を特徴づける「ホスピタリティ価値」である。ホスピタリティ価値については対人関係面からのアプローチがあると同時に、iPS細胞に見られるように医療の進化に関する側面からのアプローチがある。具体的にはどういうことなのか。どのようにマネジメントすればよいのか。そのような立ち位置でホスピタリティマネジメントのエッセンスについて執筆したのが本書である。